兄オーギュストと弟アントナン。19世紀末から20世紀初めにかけて、ヨーロッパ を席巻した「アール・ヌーヴォー」と呼ばれる芸術様式は、フランスではパリと並んでナンシー市がこの運動の中心となっていた。1890年頃からこの地で活躍を始めたエミール・ガレ、ドーム兄弟を中心とする芸術家たちは「ナンシー派」と呼ばれ、アール・ヌーヴォー期を代表する作品を数多く製作した。しかし「アール・ヌーヴォー」はガレの死後急速に衰退し、ガレ工房は1931年に閉鎖。対象的にドーム社は1920年代よりアール・デコ様式の作品を手掛け、1930年代には、フランスの豪華客船「ノルマンディ号」のクリスタルガラスのテーブルウェアの製作。また1960年代にはサルバドール・ダリのデザインによるパート・ド・ヴェール(古代メソポタピアの技法)の作品を発表するなど、時代の流れに即した作品を製作した。同社は現在も、フランスを代表する高級クリスタルガラスの専門メーカーとしてクリスタル・ドームの社名で存続している。
(写真は、Auguste, Antonin ,Marguerite Daum)