1860年シャンパーニュ生まれ。パリとロンドンで装飾工芸を学んだ後、1885年からアール・ヌーボー様式のジュエリー作品を次々に発表。若干20歳でカルティエやブシュロンなど名高い宝飾店のデザインを手がけ、宝飾デザインの世界に革命的な変革をもたらした。1907年、香水王フランソワ・コティの依頼で香水瓶のデザインに着手してからは、ガラス工芸の世界へと転進し、以後アール・デコ国際展覧会(1925年、パリ)のシンボルとなった巨大なガラスの噴水、オリエント急行やノルマンディー号の内装、朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)の正面玄関を飾る女神像のレリーフ等、歴史に残る名作を次々に発表した。 こうしてラリックはアールデコのガラス工芸の代表作家と目されるようになった。 作品のテーマは自然の美であり、花や樹木、動物、そして神秘的な女性像。卓越したデッサン力と構成力によりデザインされたモチーフは、多彩なサティナージュ(フロスト加工)をはじめ、あらゆる装飾の技法を駆使してニュアンス豊かに表現されている。